中国No.1IT企業アリババとブロックチェーン ネットワークとビッグデータ活用に強み

中国No.1IT企業アリババとブロックチェーン ネットワークとビッグデータ活用に強み

アメリカのGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と、その後を追う中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)。これらの企業は世界の時価総額全体の4分の一を占めており、ブロックチェーン仮想通貨界隈ではその動向が注目されています。

今回は、中国のトップ企業アリババのブロックチェーンに関する話題をまとめました。

中国を代表するトップIT企業「アリババ・グループ(阿里巴巴集団)」

アリババ・グループ(阿里巴巴集団)

アリババ・グループは、中国の東シナ海に面した浙江省に本社を置くIT企業です。1999年にインターネット商取引の国内向け仲介サイト(Amazonのような)として創業し、2005年にYahoo!がアリババの筆頭株主になります。同時にYahoo!中国を傘下に加え、以降インターネットを活用した様々な分野へ進出、巨大なIT企業へと成長していきます。2007年に香港証券取引所に上場、2014年にはニューヨーク証券取引所に上場し、史上最大の2.7兆円を調達し話題となりました。
中国規制当局によるブロックチェーン関連企業に登録済みであり、2016年にアリババ子会社を通してブロックチェーン技術を導入、ブロックチェーン技術開発に140億ドルの資金を調達するなどブロックチェーンに積極的な姿勢です。

アリババ会長 馬雲(ジャック・マー)氏

創立者である馬雲(ジャック・マー)氏は、浙江省杭州市出身の現アリババ会長です。1995年に中国初のインターネット企業を立ち上げ、時期尚早から失敗するも、1999年にインターネットを最大限に活用したグローバル展開を目指す企業「アリババ」を設立して再出発し、アジア一の富豪にまで上り詰めた人物です。
世界をキャッシュレス化社会に移行させ、持続可能で透明性のある平等な社会にすることを理想とし、ブロックチェーンや仮想通貨に関して、2017年12月に「まだ世界は仮想通貨に適応できていない。私はその分野に対して詳しいわけではない」とコメントしつつも、国連が立ち上げたブロックチェーン技術を議題とする「デジタル協力に関するハイレベルパネル」の共同議長を務めています。
馬氏は、2019年9月にアリババの経営から退くことを発表し、現CEOの張勇(ダニエル・チャン)氏が後継となる予定です。

世界で最もブロックチェーン開発を行っている企業

アリババグループは、企業戦略として「ブロックチェーン、AI、セキュリティ、IoT、クラウドコンピューティング」(BASIC)を掲げており、2018年のブロックチェーン関連特許出願数が米IBMを抜き世界一となりました。

アリババの強みは、中国最大のECネットワークと電子決済、そしてそれらから得られる膨大なビッグデータの分析をグループ内で完結できることです。近年、中国湖内外の様々な分野への投資を行っており、世界中の人がアリババを通して物を売るような売買のプラットフォーム的な立場を目指しているのもあり、包括的なインフラ及びビッグデータ分析にブロックチェーン技術を活用しています。インフラにブロックチェーンを導入するプロジェクトや企業は数多くありますが、自前のビッグデータ分析に活用できるのは、アリババの大きなアドバンテージでしょう。

Alibaba Cloud

アリババのクラウド・コンピューティングサービスであるAlibaba Cloudは、ユーザーが開発するプロダクトへのブロックチェーン導入を簡単にするBlockchain as a Service(BaaS)を提供しています。2018年10月以降、中国国外への展開を開始し、企業のデジタル化への支援を発表しました。

ブロックチェーンに第3者介入可能な技術の特許を取得

契約の締結とブロックチェーン上への記録を自動で行うことで、仲介を排除しエラーを排除することができるスマートコントラクトは、反面一度動作すると簡単に止めることはできず、第3者の介入は不可能となります。アリババは、不正に利用された場合の措置がとれないことを懸念し、スマートコントラクトの停止やアカウントの凍結を行うことができる第3者の介入を可能にする技術を開発し、特許を取得しました。

中国ソフトウェア開発企業とブロックチェーン技術において相互に技術提供

中国のソフトウェア開発企業エアロスペース・インフォメーションと技術的に協力する契約を結んでいます。契約には、ブロックチェーン技術のほか、クラウド、財務税務、政府業務において「積極的な統合と徹底した協業」を実施し、相互に技術を提供することが盛り込まれています。

注目のブロックチェーン導入事例・提携情報

食品偽装撲滅にむけてブロックチェーンによる食品追跡を試験的に運用

世界の食品偽装による損失は毎年400奥ドルにのぼるといわれており、現行のシステムでは偽装を見破るのは難しいとされています。アリババグループの広告事業を担うT-mallは、グローバルコンサルティング会社PwCと共同で開発した、食品のQRコードからブロックチェーンに記録された商品情報呼び出すシステムを試験的に運用しています。食品の原産地や輸送ルートは、改ざんが不可能なブロックチェーン上に記録され、食品に付いたQRコードを読み込むことで情報を取得し、真贋を判定することができます。

物流管理システムにブロックチェーン技術を導入

アリババグループのLynx internationalは、国境間での物流管理システムにブロックチェーンを導入することを発表しています。多国間にわたる長距離輸送のルート、関税、検査結果などの情報をブロックチェーンに記録することで、物流データの改ざんを防止することができます。

パキスタンとマレーシア間でブロックチェーンによる送金を開始

北欧の情報通信企業Telenor Groupは、ブロックチェーンを活用したマレーシアとパキスタンの国家間送金ネットワークを設置したと発表しました。支付宝アリペイを運用するAnt Financialは、Telenor Groupにブロックチェーン技術を提供しており、国家間の送金システムを発展させる革新的な技術を多くの利用者に実感してもらいたいと述べています。

保険とブロックチェーンの融合に出資

アリババ、テンセント、ビンアン・インシュランスの会長クラスが出資し設立された中国大手保険会社の衆安保険がブロックチェーンを活用する計画を発表しています。衆安保険は、契約内容を改ざん不可能なぷロックチェーンに記録する試みを既に行っており、統計データを紐づけることで、リスク管理や保険料設定に活用できるとしています。保険ビックデータとブロックチェーンの融合による新たな活用事例として注目されています。

資生堂と商品開発を提携、ビッグデータを活用した商品開発へ

日本の化粧品会社資生堂が、商品開発にアリババのビッグデータを活用すると発表がありました。中国の消費者に適した商品を開発することが狙いとみられています。
資生堂は、デジタル技術に520億円の投資を行い、サプライチェーンの整備を行っています。サプライチェーンは、商品の原料の調達から製造、配送、在庫管理、販売までの流れをいい、アリババグループは、これに積極的にブロックチェーンを活用しています。このことから資生堂の中国事業拡大とサプライチェーン整備に、アリババのノウハウは非常にマッチしているように見えます。さらに、アリババと資生堂の連携拠点となる「資生堂×アリババ戦略拠点」をアリババオフィス近隣に新設するとも発表しており、両社の関係が一層強化されるでしょう。

欧州最大の百貨店と提携、コンシューマデータとITを活用

スペインに本店を置く欧州最大の百貨店グループ「EL CORTE INGLES」が、アリババとの広範囲な提携を結びました。アリババの持つオンライン販売により世界へ販路を広げ、同社の持つアリペイやAI、クラウドコンピューティング分野においても協力していきます。

最後に

アリババのブロックチェーンに関する取り組みをまとめました。

馬雲氏は、世界AIコンフェレンスで講演した際に以下のように述べています。

「ブロックチェーンとIoTは、製造業界の変革を促し、『よりグリーンで、より多くの人を巻き込む』社会に貢献できない限り、無意味だ」

インプットやアウトプットまたは途中段階で一度ブロックチェーンの外に出てしまうと、ブロックチェーンによるデータの信ぴょう性がなくなってしまう恐れがあります。すべて情報がブロックチェーン上で管理されることで、初めてデータの不改ざん性が担保されます。アリババの広大かつ自己完結できるネットワークは、ブロックチェーン導入による恩恵を最大限に受けられるでしょう。加えて、ビッグデータ分析への活用は、サプライチェーンの向上や、医療開発への応用など、様々な分野への応用が期待され、アリババのさらなるグローバル化の原動力となります。第3者介入が可能な点については議論が分かれるところですが、ブロックチェーン技術の発展と導入へ大きく貢献していることは間違いないでしょう。

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