IoT(Internet of Things)とは
IoTとは、あらゆるものがインターネットにつながる環境のことを指します。
モノとモノがつながることで、本来の役割とは違う新たな価値が生み出されます。
その価値を利用して、作業の効率化や健康増進を図り、よりよい社会を創造することが期待されています。
すでにIoTは社会に浸透しており、新たな価値を生み出しています。
スマートハウスによる快適な暮らし
家電や設備機器が情報を共有して、より快適な生活を送ることができるスマートハウスは、急速に普及している身近なIoTです。
住民の健康データを共有して、室内温度や料理等を体調に適したものに調整することが可能になりつつあります。
太陽光パネルの設置によりエネルギーを自給できる住宅も増え、エネルギーを効率よく使うためにもIoTが使われてます。
また、家の鍵を持たなくても本人であることを認識し、開場するセキュリティシステムも開発されています。
車の位置情報による渋滞の共有
車のIoTといえば自動運転が注目されていますが、すでにいくつかの点でIoT化が進んでいます。
車の渋滞情報は、車両のGPD情報をもとに、渋滞個所と距離を求めてマップ上に可視化しています。
各車両が位置情報を提供し、渋滞情報の共有を行っています。
IoTの課題-セキュリティとスケーラビリティ-
IoT技術は今後さらに進化を続け、いずれは社会システム全体がつながるネットワークを構築することになるでしょう。
しかし、それには克服しなければならないポイントが山ほどあります。
その中でも特に重要なのがセキュリティとスケーラビリティです。
セキュリティ課題
IoTでは、接続する者同士は1対1ではなく、1対多または多対多となることが理想的です。
しかしそれは様々な方向からアクセスされることになるため、ハッキング等の脅威には十分注しなくてはいけません、
スマートハウスでは、住民の個人情報や鍵がハッキングにより盗難される可能性があります、自動運転が実現した未来においては、事故時、渋滞などで交通インフラがマヒする深刻な状況におちいる可能性があります。
スケーラビリティ問題
世界中のモノがつながることになった場合、接続数は数百億以上に上ることは容易に予想できますが、それらが行う膨大な通信はどこが処理するのでしょうか?
現在、世界人口の半数がインターネットに接続できる環境にあり、全員が同時に接続している状況はないものの、アクセス過多によるサーバーダウンは世界中で起きています。
とくにIoTでは、ごく小さなデータを頻繁に相互方向にやり取りするため、通信量は接続数に対し指数関数的に増加します。
IoTの普及には、普及とともに増加する接続数に対応できる能力”スケーラビリティ”の強化が必要不可欠です。
IOTAの特徴-独自技術”Tangle”-
IOTAは、IoTにブロックチェーンの技術を活用し、セキュリティとスケーラビリティを解決します。
ブロックチェーンは分散型台帳とよばれ、中央サーバー的な役割が存在せず、ネットワークに接続しているコンピューターがやり取りを監視し記録します。一般的には、複数のコンピューターがデータのやり取りを処理するため、ハッキング等の攻撃の対象になりにくく、スーパーコンピューター以上の処理能力を発揮できるといわれています。
厳密にはIOTAはブロックチェーンではなく、”Tangle”というブロックチェーンよりも早い取引が可能な独自技術を採用しています。
Tangleは、非循環有向グラフ(Directed Acyclic Graph,DAG)という構造により、高速な取引処理能力と手数料無料、高いセキュリティを確保できます。
高速な取引処理能力
一般的なブロックチェーンは、複数の取引をまとめたブロックを生成し、それらを鎖のように連結するイメージで処理が進みます。誰かが行った取引は、みんなの取引がブロックとしてまとめられ、前のブロックに連結されるまで待たなければなりません。
対してTangleは、ブロックを生成せず、取引をひとつずつ処理していきます。そのため、取引が終わるまでの時間がほとんどなく、リアルタイムに近い感覚でデータの取引を行うことができます。
手数料無料
ブロックチェーンは、取引を行う当事者以外の第3者のコンピューターに取引の承認を任せます。承認を行った報酬として手数料が支払われますが、少数のデータを大量にやり取りするIoTでは手数料がかさんでしまいます。
Tangleは、取引を承認するのは取引者自身となるため、手数料がかかりません。
セキュリティが高い
ブロックチェーンは、改ざんが困難でセキュリティが高いことは広く知られていますが、それは取引に必要な承認の半分を占有することで、崩されてしまいます。
Tangleは、全ての取引者から承認を受けなければ取引が成立しない仕組みになっています。行われた取引の承認は、次の取引の発生時と、その次の取引発生時に行われ、2度の承認によって取引が認められます。
IOTAの実績
富士通 IOTAを標準プロトコルに採用
富士通は、ITサービス、IT製品製造のエキスパート企業ですが、品質向上のためIOTAのプロトコルを導入するようです。
製品を構成する数百の部品の品質管理を、透明性、信頼性、セキュリティの観点でIOTAの技術を活用すると発表しています。
自動車メーカー共同のブロックチェーン研究チームに参加
BMW、ゼネラルモーターズ、フォード、ルノーによるブロックチェーン研究チームにIOTAが参加しています。
製造販売から、自動運転やカーシェアシステムといった未来のシステムまでブロックチェーンを活用する研究を行っています。
IOTAの評価とまとめ
IoT関連は、いま最も勢いのある事業です、加えて現在のコンピュータシステムは集中から分散へのトレンド転換期となっています。IoTとブロックチェーンがこれからの主流となるのは時間の問題といえます。

IoTをテーマにしたプロジェクトは多く、IOTAが生き残るためには、私たちのようなエンドユーザーよりも、IoTを取り入れる企業からの信頼を勝ち取ることが優先されます。
メインネットローンチは、参入しているIoT事業を成功させて、IoTプラットフォームとしての実績を積んでからになるでしょうから、長期的な目線で観察していきましょう。