ゴーレムは、コンピューターリソースのシェアエコノミーを提供するプロジェクトです。
難しい技術のため開発は慎重に行われていますが、実現すればクラウドコンピューティング市場を大きく変える影響力があります。
ゴーレムが発行するGNTトークンは、ICO時に全て発行済みで、マイニングによる報酬は発生しません。
ゴーレムが分析するクラウドコンピューティングの問題点
現在のクラウドコンピューティング市場は、Google、Amazon、IBMなどの中央集権組織がシェアを握っており、利用には高いコストが要求されます。それを払うことによって利用できるシステムは、必ずしもユーザーが要求するスペックと一致せず、選択を強いられている状況です。
本来ユーザーは、要求するリソースと供給されるリソースを合致させ、それに値する正当な価値を支払うべきです。問題は既存のシステムがその環境を提供していないことなのです。
ゴーレムは、この問題を解決するために、ユーザー同士がリソースを直接貸し借りできるプラットフォームを提供します。ユーザーが要求するリソースと、供給出来るリソースを繋ぐネットワークを構築し、効率の良いマッチングを行なう、ユーザーは供給リソースへの対価を直接支払います。
ゴーレムが提供するプラットフォームは仲介システムと中央監理者を排除し、ユーザー同士でリソースと価値を循環させるシェアエコノミーの基盤となります。
ゴーレムネットワーク
ゴーレムネットワークでは、ユーザーはリクエスターとプロバイダーの2種類に分けられます。
リクエスターは計算等でリソースを要求するユーザーで、プロバイダーはリソースを提供するユーザーです。また、計算に必要なソフトウェアを開発するデベロッパーが存在します。
リクエスターがリソースを要求すると、ゴーレムネットワーク上にあるプロバイダーとデベロッパーを、計算内容、価格、リソース量で照合し、効率の良い組み合わせを検索します。
その後、プロバイダーに計算ファイルを送信し、各自で計算が行われます。プロバイダーが計算を終了すると、リクエスターに結果が送信され、タスク量に応じた報酬をプロバイダーに支払います。支払いはゴーレムが発行するGNTトークンにより行われます。
GNTトークン基本情報
通貨単位 | GNT |
運営 | |
発行上限 | 10億GNT |
承認アルゴリズム | PoW |
GNTはイーサリアムベースのトークンで、ICO時にすべて発行済みのため、マイニングによる報酬は発生しません。ゴーレムネットワークの利用料と、デベロッパーへの支払いに使用されます。
計算ソフトウェアの登録
ゴーレムネットワークで行われる計算は多種多様なものを対象にしているため、各計算に特化したソフトウェアを開発、使用できます。開発したソフトウェアを使用するためには、ゴーレムネットワークに承認される必要があります。
ソフトウェアの承認には、スマートコントラクトを利用しています。
承認は、不正を防ぐため、バリデーターという審査役がソフトウェアを審査します。
バリデーターは、ソフトウェアを審査しホワイトリストとブラックリストを作成します、ソフトウェアに悪意やバグがなければホワイトリストに入れられます。
プロバイダーは、バリデーターが作成したホワイトリストから使用するソフトウェアを選部ことで安全に計算を行うことができます。また、ブラックリストにあるソフトウェアを使用できないわけではなく、ホワイトリストに必要なソフトウェアがない場合は、プロバイダーの判断でブラックリストのソフトウェアを利用することができます。
ゴーレムの将来性
長期のロードマップ
ゴーレムは難しいプロジェクトであるため、慎重に開発が進められており、公開されているロードマップでは完成まで4年必要としています。
1段階 ブラスゴーレム
コンセプト実証とアルファ版のテスト段階です。
システムの基礎の開発、ユーザーインターフェースの開発等を行います。
2段階 クレイゴーレム
タスクAPIとアプリケーションレジストリを導入し、ゴーレムの機能を拡大します。
デベロッパーへのソフトウェア開発支援を行っていきます。
3段階 ストーンゴーレム
セキュリティと安定性を強化し、機能強化を行います。
4段階 アイアンゴーレム
開発者向けの”ゴーレムスタンダードライブラリー”が実装され、開発者が自由に機能拡大できるようになります。これによりスケーラビリティに対応でき、アプリケーションとして強固なものになります。
競合プロジェクト
ゴーレムと競合するプロジェクトがSONMとiEXECです。
SOMNは、計算データの保護と処理の分散化による効率の良いクラウドコンピューティングに取り組んでいます。
iEXECは、イーサリアムDappsへのリソース分散マーケットを構想しているようです。
2つとも後発ながら開発スピードが速く、ゴーレムが遅れを取る可能性があります。
ゴーレムの評価とまとめ
ゴーレムは開発の遅さから、ICO投資者は不信感を募らせています。ICOから18か月たった2018年4月にベータ版がリリースされました。後発のSONMやiEXECも早い開発スピードで追い上げてきています。いずれも長期的なプロジェクトです。
ゴーレムが挑戦するクラウドコンピューティング市場は、アマゾンが3割強を占めており、マイクロソフト、IBM、Googleと米企業が半数のシェアを占めています。ゴーレムが成功すれば、必要な分だけリソースを借りることができ、今まで余剰なリソースにかけていたコストを削減できます。多くの利用者にとってメリットとなるゴーレムネットワークは、このシェア構造に大きな影響を与えるでしょう。