Ethereum(イーサリアム/ETH)の解説|スマートコントラクト機能を実装したプラットフォーム型通貨

イーサリアムはスマートコントラクトという機能を実装した仮想通貨です。

ヴィタリック・ブリテン氏により2014年から開発され、今後も複数の大型アップデートが控えている通貨です。仮想通貨時価総額ランキングではビットコインに次く順位でXRPと並び第2位。イーサリアムの独自機能スマートコントラクトを利用することで分散型アプリケーション”Dapps”を開発することができ、仮想通貨およびブロックチェーンの活用に大きく影響を与える通貨です。


開発者ヴィタリック・ブリテン氏とイーサリアム開発の経緯

イーサリアム開発者 Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブリテン)

イーサリアム開発者であるヴィタリック・ブリテン氏は、1994年ロシアのモスクワに生まれ、小学生の頃にプログラムに関して非凡な才能を発揮し、高校3年生で国際情報オリンピック銅メダルを獲得しました。彼が仮想通貨と出会ったのは高校在学中の17歳、父親からビットコインを紹介されたことから仮想通貨に興味を持ち、情報を収集していったそうです。大学では情報工学を専攻し、学業の傍ら独自でイーサリアムの原型となるプロジェクトを開発していました。次第にプロジェクトの方に多くの時間を費やすようになり、大学を2年で自主退学後、仮想通貨プロジェクト技術をより深く学ぶため世界中を飛び回りました。

世界中の仮想通貨プロジェクトを学んだ結果、ビットコインに用いられているブロックチェーン技術が様々な用途のアプリケーションに活用されているが、そのプラットフォームが開発を十分にサポートできていないことに気付きます。そこで、アプリケーションにブロックチェーンシステムを効率よく導入できるプラットフォーム・イーサリアムの開発を提案しました。

プラットフォームとしての役割

イーサリアムは、ビットコインのような決済を目的としているものではなく、ブロックチェーンシステムを導入したアプリケーションDappsの開発プラットフォームとしての使用を目的としています。よって、イーサリアムでDappsを開発することが可能で、さらにDappsで使用するトークンを作成することができます。イーサリアムで作成されるトークンはある規格に則るのが一般的で、中でも有名なのが ERC-20という規格です。

ブロックチェーンを用いたアプリケーションDapps

 

ブロックチェーンを用いたアプリケーションのことを「 Dapps」(ダップス)といいます。Dappsは、ブロックチェーンを用いることでアプリケーションの分散管理を可能にし、中央管理により起こりうる不正やサーバーダウンの危険性を排除します。アプリケーション内のデータのやり取りは、ブロックチェーン上で処理される取引として記録され、利用者全員で監視します。Dappsは、イーサリアムのスマートコントラクトという機能により、アプリケーションとして動作します。

スマートコントラクト

イーサリアムは「 Solidity」という言語をサポートしており、これにより スマートコントラクトを可能としています。スマートコントラクトは契約の自動化のことで、契約の条件確認と履行を自動化し、履行の可否によって次動作までを自律して行います。そして、スマートコントラクトにより履行された契約と、トークンの取引情報をブロックチェーンに記録することができます。

例えば、アプリケーション内でデータを購入する動作をします。この場合、

  1. まずデータの価格分トークンを送信します。
  2. トークンを受け取った側はプログラムが作動しトークンがデータの価格分あることを検証します。
    1. トークンが十分ある場合、また別のプログラムが作動しデータの所有権をトークン送信者に譲渡します。
    2. トークンがデータ価格よりも少ない場合、トークンを送信者に送り返します。
    3. トークンがデータ価格よりも多い場合、データのデータをトークン送信者に譲渡し、価格とトークンの差分を送信者へ送ります。
  3. トークン送信者がデータを受け取ったら、このやりとりをブロックチェーンに記録します。記録されるのは、トークン取引内容と、データの所有権が〇〇から△△へ譲渡されたという契約内容です。

スマートコントラクトにより、様々なDappsを作ることができます。
〈例〉
・音楽データを購入し、アーティストに直接送金するDapps
・ゲームのキャラクターデータを購入するDapps

ICOとイーサリアム

イーサリアムはICOにより資金調達を行いました。ICO当時のETH価格は、25円/ETHでした。2019年1月時点の15000円/ETHと比べると 600倍となっています。

また、現在まで行われたICOにはイーサリアムを利用したものが非常に多いです。その理由は スマートコントラクトを利用してERC-20トークンを発行できるからです。イーサリアムにより資金を調達し同額のERC-20トークンを配布する、という仕組みをスマートコントラクトにより実装することで契約を自動化することができるため、ICOにはイーサリアムが好まれました。

イーサリアムが多くのICOに利用されるとイーサリアムの需要が高くなり価格が上昇します。ICOがイーサリアム暴騰の原因と考えられ、今後のICOの動向がイーサリアムの価格に影響を与えるだろうと予測されています。

ETH盗難 The Dao 事件

イーサリアムは大きな盗難被害を経験しています。 ”The Dao事件” 被害総額は50億円以上、イーサリアムに大きな衝撃を与えたこの事件は、最終的に「 イーサリアムクラシック」というハードフォーク通貨を生み出しました。

2016年5月、イーサリアムプラットフォームで作られた自立投資型分散ファンド『The Dao』が公開されます。The Daoは、ETHにより資金調達をするICOを行い、Daoというトークンを付与します。ICOにより集めたETHでファンドを形成し、そこから個別のプロジェクトへ投資を行います。調達された金額は150億円でした。

The Daoは、イーサリアムのサービスのひとつ「DAO」(Distributed/Decentralized Autonomous Organizationの略語で、自律分散型組織)を利用しています。


DAO(Distributed/Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)

特定の国や特定の管理主体に属さない組織であり、その組織の「ルール」はスマートコントラクトとしてブロックチェーン上に規定される。


The Dao の投資先および投資額は、Daoトークン保有者により議論され、投票により意思決定をします。投資先の意思決定に賛同できない場合、自分が出資したETHをThe DAOが出資金を管理するアドレスから切り離し、自分が管理するアドレスに移すことができました。移されたETHは28日間動かすことができません。これをsplit機能と呼んでいます。しかし、split機能には、ハッキングに対する脆弱性がありました。

2016年6月ハッカーは、このsplit機能を不正に利用し、大量のETHを繰り返し自分のアドレスへ移動させました。移動されたETHは総額50億円相当になります。移動されたETHは28日間動かすことができないため、ハッカー自身も動かせません。この28日間で対策を立てなければなりませんでした。

対策は以下の3案が提議されました。

  1. 何も対策しない
  2. ソフトフォークを行う ハッカーのアカウントを凍結する。被害者には返金されない。
  3. ハードフォークを行う ハッキングにあう前の取引に戻す。被害者にイーサリアムが返金される。

有権者の賛同によりハードフォークが実施されました。これによりイーサリアムは「ハッキングによる盗難は起らなかったブロックチェーン」として、すでに形成されたブロックチェーンとは分離します。「ハッキングにより盗難が発生したブロックチェーン」は、取引の巻き戻しという措置に反対するチームによる「イーサリアムクラシック」のブロックチェーンとして継続します。

The Dao事件は、イーサリアム自体の欠陥ではなく、The DaoのSplit機能を構築するプログラムコードに問題がありました。DaoトークンはもちろんETHも暴落を記録し、Dapps開発にも影響を与えました。

4つの大型アップデート、PoWからPoSへの移行

イーサリアムは完成形までに4段階のアップデートを行い、最終的にPoSへ移行することが決定しています。

PoWからPoSへの移行期間に、2つの仕組みを組み合わせたハイブリッド型”Casper(キャスパー)”という独自のアルゴリズムを採用することとなり、より安全性を高めてからPoSへと移行します。

1段階フロンティア(2015.7)

イーサリアム開発者向けのテスト版であり、基本機能を実験するものとして公開

2段階ホームステッド(2016.2)

マイニング難易度の調整、取引手数料の変更

3段階メトロポリス1部ビザンチウム(2017.10)

PoWからPoSに変更するための準備、取引の匿名性の強化

3段階メトロポリス2部コンスタンティノープル(2019.1予定)

  • EIP210:ブロックのハッシュ方法を再編成
  • EIP145:イーサリアム仮想マシン(EVM)の計算速度の向上
  • EIP1014:ethereumブロックチェーン状態チャンネルを追加
  • EIP1052:スマートコントラクトのやり取りを圧縮する
  • (未定):ProgPowの実装

※ProgPowとは、ASICマイニングの効率を下げ、GPUマイニングに優位性を与えるアルゴリズム。マイニング技術の発達によりASICマイニングが開発されたが、導入コストが高く、資金力のある業者がマイニングを独占してしまう可能性があった。これによる中央集権化の可能性を排除すべく実装される。

4段階セレニティ(未定)

POS(Proof of Stakes)とは

PoS(Proof of Stakes)は承認方法のひとつで、 コインの保有量が多いほど承認を行う権利を得やすくなる仕組みのことです。

ビットコインなどが採用しているPoW(Proof of Works)は、より多くの計算を行い答えを導き出したものが承認権を得ることができますが、高性能なマシンを稼働させる必要があるため電力の大量消費が問題となります。また、高性能なマシンを大量に稼働し承認権を独占することで、一方的に有利なブロックチェーンを作ることも理論上可能となっています。

PoSは承認権の選別がマシンの性能によらないため 消費電力を抑えることができます。また、 承認権を得るためのコインの大量保有はコストがかかる、悪用すると保有しているコインの信頼度が下がり無価値になるといった仕組みにより不正されにくいのが特徴です。


イーサリアムのまとめと評価

イーサリアムは未だ開発中の通貨であり、今後行われるアップデートの内容が価格に影響する可能性が大きいです。後発のプラットフォーム型の通貨(EOS,ZILLIQA,NEOなど)も急速に開発を進めていますが、知名度やコミュニティ、開発バックアップの点ではイーサリアムが突出して強く、時価総額ランキングの上位をキープしています。(ロシア政府はヴィタリック氏をバックアップしています。)

また、ICOの代替として流行しつつあるSTO(セキュリティトークンオファリング)のプラットフォームであるPolymathもイーサリアムで発行されたトークンです。STOの資金調達がETHで行われる場合、ETH需要がさらに高くなります。

今後のICO及びSTO、そしてPoS移行アップデートに注目です。

 

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